議員は、国会議員であれ地方議員であれ、志があり能力があっても活躍できるとは限らないと言われます。これは人間性のことを言っているのではありません。実際のところ、議員は序列のなかに閉じ込められており、国民の皆さんから求められている志や能力を発揮したくても発揮できない状況にあります。ぜひ現状を打破して「志があり能力がある」議員さんの活躍に期待するとともに、応援する人が増えてほしいと思います。
こんな方に
- 議員に序列があると感じている方
- 地元から国会議員を出したいと思っている方
- 県議会議員、市区議会議員、町村議会議員の皆様
- 【筆者について】
- 山辺美嗣、もしくは山辺美嗣の情報をもとに夫婦で執筆しています。
【やまべみつぐ(山辺美嗣)】
通産官僚、国連(ジュネーブ)、独法(ニューヨーク)での勤務を経て、その後県議会議員に。日本初の地産地消政策や、地方議員としてロシアとの直接交渉などを実現しました。保守三つ巴の熾烈な選挙戦や、他の候補者の選対としても活動した経験を基に執筆しています。現在、政治行政のコンサルタント。【やまべちかこ(山辺千賀子)】
元人材育成コンサルタント。ニュースキャスターや番組ナレーター(恩師|お茶の水博士・ベルクカッツェ)、女性組織創設運営などの活動を地方で行ってきました。議員の妻としての立場、認知症や身障等の家族(計5人)との暮らしなどで経験したノウハウもお伝えしています。夫の議員引退を機に、故郷の雪国から子や孫のいる関東に転居。孫5人。
パワーバランス(権力構造)
地方議員は、国に陳情して予算を配分してもらうことに精を出し、国会議員は、自分の選挙区への利益誘導に精を出すという、政治家としての本分から外れたことが定着しています。
金とり合戦に労力をかけ、金をめぐるパワーバランス(権力構造)に振り回される、これが政治家の実態です。
陳情はあくまで一例です。
これは志ある方なら説明するまでも無く、既に充分ご存知のことでしょう。
この現状の政治環境、土壌も、枠組みも、変えていかねばなりません。
そもそもなぜ日本の法制度、税制度、予算制度など全ての制度が、中央が決めて地方に指示し、配分する方式になったのか。
それは、明治以降において一等国の仲間に入るため、憲法が中央集権制を採用したからです。
殖産興業や富国強兵を図るための資金、すなわち税収を国に集中する必要があったからです。
戦後の新憲法においてもその骨格は維持され、数度にわたって地方自治の強化が行われてきましたが、現在においても本質は変わっていません。
なぜ政治は変化しないのか
ごらんの通り、社会がどんどん変化しているのに、制度は古いままなのです。
環境に対応できない組織は淘汰される、これはビジネスの世界では当たり前のことですが、なぜ政治は環境に応じて変化しないのか。
それは「現状維持」の方向に大きな力が働いているからでしょう。
しかもそれが見えないようになっている。
大まかにとらえるなら、そう考えて矛盾はありません。
衆院の小選挙区制は、政党を選ぶ選挙になり、議員の階級制度につながった
小選挙区制によって地方議員の活躍は大きくせばめられました。
ひと言でいうならこうなります。
小選挙区制は時の政権に対する評価が選挙結果に反映されやすいため、政権交代を導く制度と言われていますが、大きな問題も生じさせたのです。
これが最大の問題です。
- 小選挙区制が生まれた背景(クリックでご覧いただけます)
- 小沢一郎自民党幹事長が、欧米のような二大政党制を目指すため、小選挙区制を宮澤喜一総理に提案したが退けられたため、自民党の数十人が内閣不信任案に賛成して新党を結成し政変となりました。
1993年(平成5年)、政権交代により誕生した細川内閣は小選挙区比例代表並立制(小選挙区300、比例代表200)を提案し、翌年に成立。1996年の衆院選以降実施されています。国の選挙制度改革として導入された小選挙区制は、その後確かに目論見通り政権交代を実現しました。
しかし反自民政権は国民から支持されずわずかの期間で終了し、小選挙区制の問題だけが残骸として晒されています。
「政党の力=その時々の政党内権力者の力」が強固になり、「候補者の力=志や能力」の価値が損なわれた
本来、衆議院選挙は、国民代表を選ぶ選挙として、人物を選ぶ選挙であったはずです。
小選挙区制になるまでは、今よりはずっと、その人物の志や能力が高く評価されていました。
しかし小選挙区制導入で、政党を選ぶ意味合いが強くなったことで、どうなったか。
政党の力、言ってみればその時々の政党内権力者にとって、都合の良い候補者を決定することが可能になったのです。
誰がいつどんな基準で候補者を決めているの? ここにもからくりがありそう。
もはや議員を育てる環境はない
選挙で勝つためには、集票と金が大切。
これは政治にかかわった方なら誰もが知っている事実でしょう。
これを頭から否定するつもりはありません。なぜなら
その候補者に多くの票が集まる⇒多くの人から評価されている
その候補者が多くの金を動かせる⇒信用の証
しかし、これが最大の判断基準だとすれば、選挙の基準であっても議員への基準ではないはずです。
選挙の基準の前に、議員は、議員としての志と能力で選ぶ土壌があるべきなのではないでしょうか。
票を獲得するために白羽の矢が立つタレント候補者などは、議員になっても多数決要員としか思えません。
「人気や知名度さえあれば、票がとれて、議会の中では実力者のいう通りに動いて多数決の役に立つ。」
そういう議員ばかりの方が、実力者には都合が良い議会になってしまっているのです。
政党所属の議員の序列を知っていますか
その時々の政党内権力者の意向を強く受けて選ばれた国政の候補者は、その後、どうなるのかお伝えしましょう。
2 国政の候補者の下に、選挙区内の県議、市議、町議、村議らが置かれる
国政の候補者になった途端、序列がハネ上がります。
フシギだなあ。
ピラミッドの建前は保ちつつ実権を握っていく、見えにくい構図がありますね。
国政だけにいるわけじゃないみたい。
政党には、党本部を頂点に、全国に支部があります。
支部の多くは、各地の議員が支部長を務めます。
衆議院小選挙区の候補者は候補者になった途端、「小選挙区支部長」になります。
この「小選挙区支部」が地方の政党支部の頂点となりますので、候補者の段階であっても「小選挙区支部長」が地方の政党支部の頂点に立ちます。
そして「小選挙区支部」内には、市、町、村などの支部があります。
支部はそれぞれ県議会議員、市議会議員らが支部長を務めています。
衆議院小選挙区の候補者は、候補者になった途端「小選挙区支部長」となるので、県議会議員や、市議会議員、町議会議員、村議会議員より、上位に立つという仕組みです。
党本部が、その候補者を地方の頂点にすえる以上、その下となる地元の県議、市議、町議、村議たちは、上を押し上げる協力をすることになるわけです。
もちろんタダでやれというわけではなく、小選挙には党本部からの資金がはいってくるのです。
これからどんどんこのブログに取り上げていかなくちゃ
ミコシに乗ったほうは振り落とされないように気を付けることですね。