「落選したら、ただの人」これが議員の立場です。
知っておきたい議員のリアル、今回は「年金」についてとりあげます。
地方議員には、現在、【議員年金制度】がありません。
「財政難のご時世、議員は身を切れ」と世間の声に共感する一方で、議員の立場になってみると、自分の将来、家族の将来に不安がよぎるのも現実でしょう。
内容
- 地方議員はどうしているのか
- なぜ議員年金制度が廃止されたのか
- 議員年金がない現状に、どんな議論が起きているのか
地方議員の年金について、現状、経緯、今後の課題などについてご説明します。
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/議員・経営者・地方在住の方\
【現状】議員年金制度が無い現在 、地方議員はどうしているのか
現在、地方議員は次のどちらかの年金に加入しています。
- 国民年金
- 議員と兼業している事業の厚生年金
国民年金は、基礎年金だけです。
老後、基礎年金だけで暮らすことは、現実には厳しいと言われています。年金額を大きくするには、国民年金基金等に別途加入することを検討しておきましょう。
厚生年金は、基礎年金プラスアルファの仕組みです。
厚生年金は、国民年金よりも年金額は大きくなります。
議員を目指す時点で、会社勤務と両立できなくて会社を辞める人が多いですよね。となると厚生年金には、入りたくても入れないのでは?
そう。ですから厚生年金に入っている地方議員は限られています。
なるほど。身内に会社経営者がいるとか、もともと自営業だったような人が、厚生年金に加入できるのですね。
本記事の下部に、参考情報を書いています。
議員年金が無くなった経緯
経緯は次の通りです。
いつ、なぜ【議員年金制度】が無くなったのですか。
平成15年から始まった平成の市町村合併により、地方議員の数は6万人から3万人に大幅に減少しました。これによって地方議員年金制度は収入が半減して財政が一挙に悪化し、平成23年6月1日に廃止されたのです。
どんな制度だったのですか。
在職期間12年以上にわたり毎月一定額を積み立てると満期となり、退職後は60歳以降から年金が支給される仕組みでした。
制度が廃止される前に加入していた地方議員は、今どうなっているのですか。
制度が廃止された時点で満期に達していなかった議員は積み立てた額を一時金として受け取り、満期条件を満たしている議員には退職後に地方議員の共済会から年金が給付されています。
「落選したら、ただの人」という現実は、経済的にもシビアですね。
地方議員当事者からは「落選したら、ただの人、以下」という声をたくさん聴いてきました。地方議員の場合、議員報酬だけでは、貯金できる人は本当に少ないでしょうね。
地方議員には退職金がありません。知事や市町村長には退職金があるので不平等ですね。また、国会議員には、歳費(給料)以外に、領収書がいらない公的な給付金が月に165万円あり、退職金の前払いになっているとの指摘があります。
・・・知れば知るほど、法律を決める国会議員が、いかに好条件になっているかがわかってきました。
地方議員の【年金】に関する課題|3つの論点
現在、次の議論が起きています。
地方議員が「厚生年金」に加入できるようにしてはどうか
地方議員の新たな年金制度として、現在有力な案として検討されてはいますが、まとまりそうな雰囲気にはありません。問題の論点を3つにまとめてみました。
「厚生年金」を、地方議員に該当させていいのか
厚生年金は社員の年金掛金のうち半分を事業主が負担します。このことが「議員にも当てはまるのか」が論議されています。
「事業主」は社員を引き続き雇用するための経費として「事業主負担」をします。ただ地方議員の場合は、「雇用主」は地方自治体です。地方自治体は、地方議員を引きつづき雇用する必要は無く、地方議員を選ぶのは有権者であるので、地方自治体が「事業主」に該当するか疑問とされています。
「国民年金」が不十分であるなら、「国民年金制度」を改善することこそが議員の責務なのではないか
国民年金の額が不十分だから厚生年金に入るとすれば、そもそも国民年金制度を改善することこそ地方議員の責務でないかとの反論を巻きおこしています。
地方議員だけのために「年金」を考える必要があるのか
国民年金に加えて、国民年金基金や確定拠出年金を活用すれば、充実した年金を受け取ることができるので、地方議員だけのために年金制度を検討する必要が無いとの議論もあります。
勤務先を退職して議員を目指した人は、ご注意を!
まずは国民年金に加入しているか、確認を
特に、会社などに勤務していた方が、退職して議員を目指す場合、国民年金に加入することをうっかり忘れてしまうケースが生じます。念のため確認を。
議員を目指してからも、会社を退職しなかった方は、次のような方に限られていることと思います。
この場合は、その環境が長く続くよう努力している方が多いです。
既に、後継者がいる場合などは、その身内に経営をゆだねて、実質上の経営を退く方も少なくありません。ただ①と②は、限りなくグレーゾーンの【お金の疑惑】も生まれやすい環境です。
③ 議員になるために、自営業を始めたり、フリーランスとして独立した
コロナでリモートワークが定着したため、自営業やフリーランスやで働く環境は、数年前と比べて格段に進化しています。このことは、地方議員にとってもプラスに働くと期待しています。
自営業とフリーランスは違うのですか?
自営業の代表例は、お店の店主、農業主や漁業主、弁護士、会計士、税理士、開業医などです。自分で独自の事業を営んでいます。自分でビジネスの枠組みも作っています。
フリーランスは、ITエンジニアや、プログラマー、司会業、カメラマン、ライターなど、いわゆる「手に職を持つ」人に多いです。会社や団体などに所属せず、仕事に応じて働く環境が変わることが多いです。
議員は、これからますます経営者感覚が必要になりますね。
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