議員の「後援会」はできるだけ早めに作ることをおすすめします。
理由は、「お金」のこともあるからです。
こんな方に
- 議員の後援会のメリットを知りたい
- 議員になりたい
- 選挙するための準備が知りたい
- 【筆者について】
- 山辺美嗣、もしくは山辺美嗣の情報をもとに夫婦で執筆しています。
【やまべみつぐ(山辺美嗣)】
通産官僚、国連(ジュネーブ)、独法(ニューヨーク)での勤務を経て、その後県議会議員に。日本初の地産地消政策や、地方議員としてロシアとの直接交渉などを実現しました。保守三つ巴の熾烈な選挙戦や、他の候補者の選対としても活動した経験を基に執筆しています。現在、政治行政のコンサルタント。【やまべちかこ(山辺千賀子)】
元人材育成コンサルタント。ニュースキャスターや番組ナレーター(恩師|お茶の水博士・ベルクカッツェ)、女性組織創設運営などの活動を地方で行ってきました。議員の妻としての立場、認知症や身障等の家族(計5人)との暮らしなどで経験したノウハウもお伝えしています。夫の議員引退を機に、故郷の雪国から子や孫のいる関東に転居。孫5人。
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「後援会」の4つのメリットとは
立候補を決めたら、「後援会」はできるだけ早く作れるといいですね。
すでに議員になっている方も、もしまだならおすすめです。
お金のかかる選挙、「後援会」があるほうが、資金面でもメリットがあります。
「後援会」があるとこんなメリットがあります。
- 「お金の支援」にメリットが生まれる
- 「立て看板」が多く出せるようになる
- 「候補者の信用」を高めやすい
- 「多くの票」につなげやすい
後援会のメリットは、後援会会員というかたちで支援者が明確になる、という事だけではないのです。
では詳しく見ていきましょう。
メリット1「お金の支援」にメリットが生まれる
「お金の支援」をする側も、される側も、双方にメリットが生まれます。
「支援する側」お金で支援しやすくなる。
「支援される候補者」お金の支援をしてもらいやすくなる
お金の支援をしようとする側に立つと、お金を、「候補者個人・議員個人」に渡すのと「後援会」に渡すのとでは、まったく違うからです。
候補者を支援しようと思っても、個人が「候補者個人・議員個人」に寄付することは原則禁止されています。
候補者(現役の議員も)にとって、一人一人の支援者さん個人から、つまり友人知人、親戚の皆さんなどから資金を集めることはもちろん大切です。
ただ個人から候補者本人への寄付金は、選挙資金についてのみ認められているので、継続的に個人から寄付金を受け取るときは「後援会」をつくる必要があります。
それにもかかわらず個人から選挙資金でないお金を候補者が受け取ると、法律に違反し処罰の対象となるほか、寄付金ではなくて一時所得とみなされ候補者は所得税を支払うことになります。また、お金を渡したほうは譲渡税を支払うことになるので、メリットはありません。
このように個人からの寄付金を選挙のとき以外でも受け取るためには後援会が重要です。
ざっくりまとめるとこうなります。
「支援する側」メリット無し
「支援される候補者」メリット無し
選挙や議員活動にはお金がかかります。
お金のかからない選挙や議員活動は理想ですが、理想だけでは前に進めません。
「候補者個人・議員個人」にとって、お金の応援をいただけるのは本当にありがたいはずですので検討してみてはいかがでしょう。
メリット1の詳細「お金の支援」はお金の流れで4つある
ここからは、お金の流れで次のように表記します。
- 「政治団体」⇒「後援会」
- 「政治団体」⇒「候補者個人・議員個人」
- 「支援者個人」⇒「後援会」
- 「支援者個人」⇒「候補者個人・議員個人」
【A】お金を渡す側が「政治団体」の場合
お金の流れは2つあります。
【A】①「政治団体」⇒「後援会」の場合
受け取る側:後援会に、税金はかからない。
政党の本部や支部など「政治団体」から、いつでも「後援会」に寄付が出来ます。
これから選挙に出ようと考えている方、政治団体からお金の支援も期待するなら後援会は是非つくりましょう。
いただく側の「後援会」にも税金はかかりません。
【A】②「政治団体」⇒「候補者個人・議員個人」の場合
受け取る側:候補者にとっては、選挙の時の寄付収入は課税されない。
政党以外の後援会などの「政治団体」が、「候補者個人・議員個人」に寄付することが出来るのは、選挙の時だけです。(ただし政党だけは、いつでも候補者に寄付が出来ます。)
「候補者個人・議員個人」にとって、この収入は課税対象になりません。
多少複雑でありますが、基本的に政治団体を通すことでお金の流れを「見える化する」ことを法律は目指しているといえます。
【B】お金を渡す側が「支援者個人」の場合
お金の流れは2つあります。
【B】①「支援者個人」⇒「後援会」の場合
受け取る側:後援会に、税金はかからない。
候補者や議員を応援するために「支援者個人」が出すお金に税金はかかりません。
また、お金をいただく側の「後援会」にも税金は全くかかりません。
もし支援を考えている個人が企業経営者でしたら、会社から寄付することも考えていただいていると思います。
しかし、企業献金ができるのは政党と政党の支部に限られるので、社長個人として後援会に寄付していただけるようお願いしてください。
【B】②「支援者個人」⇒「候補者個人・議員個人」の場合
受け取る側:選挙のときでない個人からの寄付は、候補者にとっては一時所得なので所得税が、お金を出した人には贈与税がかかる。
「支援者個人」が、「候補者個人・議員個人」に、選挙のとき以外で寄付した場合には、お金を受け取った「候補者・議員個人」にとっては、一時所得になるので所得税の対象となります。
金額によっては渡した「支援者個人」に贈与税がかかります。
ただし、選挙の時の寄付だけは非課税になります。
メリット2 「立て看板」が多く出せるようになる
「後援会」があると立て看板が、多く出せるようになります。
「山﨑健人を応援する会」「あまみ勇気後援会」など、候補者の名前の入った立て看板はご覧になったことがあるでしょう。
「後援会」があると、「候補者個人・議員個人」の倍、多く設置することができます。
看板は、有権者の住む地域で、地権者や物件者の許可を得て設置しますので、多く設置できたほうが地域を挙げて応援している候補者というイメージにつながりますね。
例 「候補者個人・議員個人」で設置できる枚数(6枚)+ 「後援会」として設置できる枚数(6枚)
看板の設置には、選挙管理委員会に枚数や設置場所を届け出て、証票を貼付する必要もありますよ。
メリット3 「候補者の信用」を高めやすい
「後援会」があるということ自体、多くの人たちが応援していることの証です。
「後援会」は、選挙管理委員会に政治団体として届け出る必要があります。政治団体は毎年収支が公開されるので、不正の無い団体として信用力ができます。
逆に言えば、「後援会」がないと収支が公開されないので、候補者の活動資金の流れが不透明で、無用な不信感にもつながりかねません。
メリット4 「多くの票」につなげやすい
「候補者個人・議員個人」が一人でできることは限られていますから、多くの人に協力してもらえるほうが支援者の輪が広がるのは当然です。
たとえば「候補者個人・議員個人」がスポーツに興味が無くても、「後援会」にスポーツ好きな人がいれば、その人を頼ってスポーツ仲間の支援者を求めていくこともできるのです。
政治活動は真剣に取り組めば取り組むほど、時間もお金も手間もかかります。支援してくださる方が「後援会」にいてくださることは、本当に大きな力になりますよ。
後援会の活動は憲法で保障されている
後援会活動は憲法で保障されている政治活動です。
日本国憲法は「結社の自由」を保障しています。具体的にはつぎの2つの自由です。
① 政治団体を作る自由
② 政治活動を行う自由