政務活動費は、地方議員が力量を発揮するために必要な、重要な議会費です。この費目を確立するまでには、多くの先輩議員たちが全国で連帯して長年にわたって努力をしてきました。 近年、政務活動費を巡って全国で事件が起きたことはとても残念なことであり、こうしたことが再発しないよう、政務活動費の正しいつかいかたを広めていくことが大事だと考えます。 ぜひ、地方議員現職の皆さん、これから議員を目指す皆さんにこの記事を読んでいただきたいと思います。
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政務活動費は使命を果たすためのツール
政務活動は、議員としての使命を果たすための大事なツールです。
「何のために?」「何処で?」「何を調査し?」「誰の話を聞いて?」「その成果を何時?」「どのように活かすのか?」
つねに明確な目的、目標を持って活動し、たくさんの成果を出されんことを期待します。
では、政務活動費を正しく使うために何が大切か、掘り下げて考えてみましょう。
政務活動費は公務をするための費用に使う
結論から言いますと、政務活動費は、地方議員が「公務をするための必要経費」に使う議会費です。「議員の公務」をしっかり認識していれば、問題が発生することは全く無いと考えます。
ただし重要なことは、「自身で行う公務」であることが絶対条件だということです。例えば、政務活動費を使って外部の調査会社に、他県で行われている農業支援策の「調査」を発注したとします。報告書が入手出来てそれで終わり、としていたら自分が行った調査にはなりません。その報告を基に分析し、自らの地域における具体的な支援策を提案して、はじめて自分で行った調査になる、そのように考えてください。
はなしが横道にそれましたが、政務活動費をどのように活用するか「知っておくべきこと」について、このあと進んでいきます。
政務活動費を使ってはならない「私的な活動」とは
政務活動費の使途目的はあくまでも「公務」です。従って「私事」には充てられません。では、政務活動費の対象とされない「私的な活動」とは何でしょうか。
地方自治法を所管する総務省の見解では:政党活動、選挙活動、後援会活動、 その他の私人としての活動は私的な活動です。
個々に見ていきます。
この様に「私的」なものは排除出来ますが、「公務」であることを積極的に立証するには研究研修費、調査旅費、資料作成費、資料購入費、広報費、広聴費、人件費、事務所費、事務費の個々の支出が、「公的な目的」のために行われ、「成果があった」ことを示す必要があります。
グループ活動に注意!
グループで政務活動の出張をしたとき、こんなことがありえます。
- 要所要所に顔を出していたが、少しは皆から外れて私的な旅行として楽しむ
- ついていっただけなので視察先のことはよく覚えていない
- 報告書は、誰かが書いたと思うが読んでいない
こうしたグレーゾーンに入ることは避けたいものです。政務活動は議員個人に交付される決まりです。各々の議会の判断で、会派に交付することも出来るようになっていますが、その場合でも、個人毎に支出内容が記録され保存されます。(後には公開されます)
グループでの活動は、主体性が意識されずルーズになりやすいので注意が必要です。その場合は、「自分で書いた報告書」を、必ず添付しましょう。
残念な事件
政務活動費不正事件が最初に全国報道されたとき、本当にびっくりしましたね。テレビで泣きじゃくっている議員さんを見て、はじめは笑った人が多いと思う。しかし、日が経過してくると腹が立ち、そしてその後悲しい気持ちになりました。
志を抱いて議員になった人がこんなことをするのでしょうか。日本でこんな事件が起きたことは誠に残念でなりません。
兵庫県議会の事件(2014)は世間の注目を集めましたが、その後も
市川市議会(2014)、神戸市議会(2015)、富山市議会(2016)、墨田区議会(2017)、広島市議会(2019)、福井県議会(2020)など、
近年は政務活動費の不正事件が毎年のように報道されています。事件は「カラ出張」「架空請求」など詐欺罪がほとんどです。
2012年に、地方自治法の改正によって制度化された現行の「政務活動費」は、地方自治体ごとに「条例」を定めて使途や支払いについて規定するとともに「規則、要綱」でルールの明確化を図っています。
上に列記したいろんな議会の事件は、全部がこの制度化の後に起きていますから、明らかに違反であることを知りながら行った「犯罪」です。