根本的な改善を議論するために、なぜこんな体たらくが続いているのか、その背景をご説明します。
眠っていても困らないからです。
残念ですが、日本の議会は、台本どおりに進むだけの「発表会」状態にとどまっているケースが少なくありません。討論をしていないのです。自分の出番すらない「他の人の発表会」なら、眠っていてもさほど困りません。ですからつい眠ってしまうのです。
居眠りを監視するために議会の様子をリアルタイムで動画発信しても、本質的なことが改善できるとは思えません。
カメラ映りを気にする議員が増えるだけででしょう。
議員の居眠り問題を根本的に解決するために、知っておきたい背景
- 【筆者について】
- 山辺美嗣、もしくは山辺美嗣の情報をもとに夫婦で執筆しています。
【やまべみつぐ(山辺美嗣)】
通産官僚、国連(ジュネーブ)、独法(ニューヨーク)での勤務を経て、その後県議会議員に。日本初の地産地消政策や、地方議員としてロシアとの直接交渉などを実現しました。保守三つ巴の熾烈な選挙戦や、他の候補者の選対としても活動した経験を基に執筆しています。現在、政治行政のコンサルタント。【やまべちかこ(山辺千賀子)】
元人材育成コンサルタント。ニュースキャスターや番組ナレーター(恩師|お茶の水博士・ベルクカッツェ)、女性組織創設運営などの活動を地方で行ってきました。議員の妻としての立場、認知症や身障等の家族(計5人)との暮らしなどで経験したノウハウもお伝えしています。夫の議員引退を機に、故郷の雪国から子や孫のいる関東に転居。孫5人。
議会が「発表会」とはどういうことなのか
皆さんも、自分が何かの会議に参加しているところを想像してみてください。
あなたは、会議に参加していても
- 「自分の意見を述べる」必要が無い
- 自分で考え、自分で決めることもない
- 誰かの「ほぼ台本通りの発表」を「聞き流す」ことで済む
こんな会議なら、眠くなるのは当然だと思いませんか。
恐らく自分の意見も持たずに参加してしまう人も出てくるでしょう。
そんな会議なら、
わざわざ集まる必要はあるのか、書類配布で済むのではないか
と思うのではないでしょうか。
日本の議会は、台本どおりに進むだけの「発表会」状態になっていることが少なくないのです。
今どきメールで済むことを、わざわざ集まって「議会」でしているから眠くなるのです。
議会「発表会」の台本は誰が書いているのか
国会がしばしば「台本のある発表会」に見えるのは、日本の頭脳集団ともいえる官僚の存在が大きいでしょう。
国会の様子を例にご説明します。
官僚は、それぞれの国会議員の立場に応じて、こんなことが担えます。
官僚が担えること
- ふさわしい論点を提示する
- 論点に必要な情報をまとめる
- その情報を、議員にレクチャーする
- 国会で想定される流れに備えて、対応策を準備する
議会で「討論」しない理由は、議員の能力差が知れ渡ってしまうから⁈
議会が、あらかじめ整った資料に基づいた「発表会」形式でとどまる場合は、官僚の力は絶大です。
「あらかじめ整った資料」とは、まさに官僚が関与して作ったものだからです。
議員同士で「討論」したら、あらかじめ用意した原稿でなく、議員個人の知識と経験で戦わなくてはならなくなります。官僚など他の人が関与できない状態になる「討論」では、議員の能力差が誰にでもわかるようになるでしょう。
討論すると、議員の能力差は、はっきりと露呈します。
そうなると困るのかもしれません。
テレビに映っていればまた票がとれるので、高額報酬の国会議員の立場は安泰なのです。
「どうでもいいこと」ほど活発な議論を演出しやすい
日本の国難を「倒産しかけている会社」にたとえるなら
たとえ話をしましょう。
ある会社が倒産しかけているところを想像してみてください。
緊急の取締役会が招集され「経営会議」が開かれていると想像してみてください。
この場では
「どうやって経営を建て直すか」
について討論し、結論を出すべきでしょう。
そうであるにもかかわらず、よく国会で見かけるのは会社になぞらえるとこんなシーンです。
「あの時、あなたが社食のコーヒーをA社ではなくB社にしたのは癒着があるからではないですか!」
これでは、結論を出すための討論ではなく、「活発な議論のふりを演出しているだけ」ではないでしょうか。
そんな「どうでもいい」けなし合いや責任転嫁は、どうか個別にやってください。
今、日本の議会が論議すべきこと
未曽有の国難ともいえる今
「どうやって日本をまもるのか、建て直すのか」
どうぞ、これを考えていただきたいものです。
「議会」では「討論」が重要
議会は、「議員が集まる」ことでしかできない「討論」に専念すべき
つまり、発表会で済ませている「議会」は、大いに問題ありなのです。
「発表会形式」では、次の点が疑わしくなってしまいます。
- 大切なことを決めるために、議員全員が、十分考え検討したと言えるのか
- 考え検討するための、論議を尽くしているか
- そもそも論点は、社会の課題解決にふさわしいか
民間企業からも学ぶべき「議会」運営
議員の能力の他にもある問題
日本の議会がお粗末な理由は、議員の能力の他にも理由があります。
それは、
だということです。
日本の民間企業が行っている、
- 情報伝達
- 情報発信
- 情報共有
- 合意形成
- アイデアの出し方
など、スピード感をもって意思決定するために導入している各種の手法も学ぶべきでしょう。
教えてくれる機関も沢山あるはずです。
あまりに勉強不足です。
なぜ民間の常識が、議員の常識になっていないのか
日本の民間企業が生き残るためにどれほどの汗と知恵を絞っているか、議員は知らないのではないでしょうか。
現場で改革に挑み続けている民間企業の方々に、議員はもっと学ぶべきでしょう。
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