この記事を読むとわかること
- 地方議員の「報酬」の目安
- 地方議員は「兼業」してもいいのか、定年や労働時間規制は?
- 地方議員になるための「資格」は?
- 地方議員の「権限」とは
- 地方議員とは何をする人なのか
※ このブログでは、地方公共団体の議会議員を簡略に「地方議員」と書いています。
- 【筆者について】
- 山辺美嗣、もしくは山辺美嗣の情報をもとに夫婦で執筆しています。
【やまべみつぐ(山辺美嗣)】
通産官僚、国連(ジュネーブ)、独法(ニューヨーク)での勤務を経て、その後県議会議員に。日本初の地産地消政策や、地方議員としてロシアとの直接交渉などを実現しました。保守三つ巴の熾烈な選挙戦や、他の候補者の選対としても活動した経験を基に執筆しています。現在、政治行政のコンサルタント。【やまべちかこ(山辺千賀子)】
元人材育成コンサルタント。ニュースキャスターや番組ナレーター(恩師|お茶の水博士・ベルクカッツェ)、女性組織創設運営などの活動を地方で行ってきました。議員の妻としての立場、認知症や身障等の家族(計5人)との暮らしなどで経験したノウハウもお伝えしています。夫の議員引退を機に、故郷の雪国から子や孫のいる関東に転居。孫5人。
まずは、現実的な情報からご紹介しましょう。
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【報酬】地方議員の目安
地方議員報酬を平均値で見ると、その額は幅広く分布しています。
地方議員の報酬月額 平成29年4月調べ | ||
【地方議員区分】 | 【平均】万円 | 【 最低 ~ 最高 】 万円 |
都道府県議会議員 | 81 | 大阪府65~愛知県98 |
指定都市議会議員 | 79 | 浜松市65 ~ 横浜市 93 |
特別区議会議員 | 61 | 中野区59~ 江戸川区62 |
一般の市議会議員 | 41 | 夕張市18~金沢市70 |
町村議会議員 | 21 | 御蔵島村10~葉山町40 |
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この中で町村議会議員の平均報酬が低いことは、かねてより議員の成り手不足の原因とされ、現在も検討が続けられています。
次に、兼業、定年、労働時間規制についてご説明します。
全国にはおよそ32,000人の地方議員がいます。
最大の東京都議会にはじまり全国に1,700以上ある 道府県・市町村の議会には、合計で32,000人の地方議員がいます。
【兼業】【定年】【労働時間規制】地方議員の場合
地方議員は「非常勤」の公務員だから兼業してもよい
地方議員の兼業が認められているおはあくまで民間の仕事との兼業です。公務員との兼業は認められていません。
実際の兼業事例として分野を挙げると、農業、商店、飲食店、会社役員との兼業が多く見られます。また、プログラマーや司会業などの自営業をしている方も散見されます。
地方議員は「非常勤」の公務員であるため、「職務専念義務」が無いからです。非常勤の公務員には【職務専念義務】が無いので、兼業が許されています。
地方議員は
- 他の職業と兼業をしてもよい
- しかも議員報酬も決して悪くない水準
地方議員は職業として、選択の対象となるほど十分な魅力があるといえるでしょう。
【資格】地方議員になるための条件
地方議員に立候補するとき、学歴その他の資格は求められません。
ただし、次の5つの条件がクリアされていることが必要です。立候補の3か月以上前には点検が必要です。
地方議員になるための「資格」
- 日本人であること:
外国籍の人は立候補できません - 満25歳以上であること:
地方議員以外は該当しない場合があります - 住所要件3か月をみたすこと:
「3か月ー選挙日数」以上の期間、選挙区内に住所がある - 法に該当する犯罪者でないこと
- 供託金を収めること
③④⑤について詳しくご説明します。
【住所要件】は3か月必要
住所とは住民登録の有無に限らず、本人が主観的に「住んでいる」と認識し、選管が客観的に「住んでいる」と判断する、というのが判例ですので、解釈には微妙な点を残しています。
いずれにせよ、少なくとも立候補の3か月以上前から住民登録することが基本だと考えましょう。
もともと立候補に際して、住所確認のため【住民票の提出】は必要でした。しかし選挙区内に住所があるという【住所要件】は必要条件ではありませんでした。
しかし、公職選挙法が一部改正され、令和2年9月10日以降に告示される選挙から、地方議会議員選挙に立候補する人は、宣誓書において、「投票日には(3か月以上の)住所要件を満たす予定です」と追加して宣誓することになりました。虚偽の宣誓を行った者は虚偽宣誓罪(30万円以下の罰金)の適用対象となり、刑が確定した場合5年間は公民権が停止されることになりますので、当選は無効になります。
【犯罪者】でないこと
法に該当する【犯罪者】は立候補できません。
つぎに該当する人は立候補ができません。
- 禁固刑以上の服役中
- 公職にいる間に犯した刑法違反(収賄、受託収賄、事前収賄、第三者供賄、あっせん収賄)の服役中及びその後5年間
- 公職者あっせん利得処罰法違反の服役中及びその後5年間
- 公職選挙法違反罰金刑の確定後5年間
【供託金】を収めること
地方議員の供託金は、都道府県議会議員60万円、市議会議員30万円、町村議会議員15万円です。
町村議会議員選挙にはこれまで長く供託金は不要でしたが、公職選挙法改正により令和2年6月から、15万円の供託金が必要になりました。なおこれにあわせて、町村議会議員だけが該当しなかった選挙ビラが公費で作成できるようになりました。
「権限」地方議員にはあるのか
公職には、それぞれに権限があり、地方議員にも「権限」があります。
地方議員の主な権限
- その地方公共団体の予算を決定する
- 条例を制定する
- 首長を問責する
そのため、この権限が汚職につながっていないか監視されるのです。たとえば、公職あっせん利得処罰法などの法律で、違反があった場合には厳しく罰せられます。
【何をする】のが地方議員なのか
地方議員の仕事は次のように表現できます。
- 都道府県や市町村の住民を代表する。
議員は住民の代表として議決に参加するわけですから、住民の意見がどうであるか常に把握し、地域が発展するよう、暮らしが良くなるように調査研究をして提案し、意見をのべ討論をすることが重要な役割です。 - 税金の使い方や地域社会のルールを決める。
地方議会の役割を、憲法では「議事機関」と表現しています。これは「議論をして〇〇を決める組織」という意味です。 - 地域の未来の姿をえがく。
議決の主な対象は次の通りです。
- 税金の使い方である「予算」
- 住民や企業の従うべきルールを示す「条例」
- 地域が目指すさまざまな「計画」
一般の市民も請願により意見を述べることが出来ます。また首長は予算や条例を提案することが出来ます。しかし最終的に議決できるのは議員だけであり、議決権を行使することは、議員にとって大きな魅力であり、重大な責務です。
【立場と課題】地方議員はどうなっているのか
「公職」とは
公職とは、「選挙で選ばれる職及び職務」のことをいいますので、国会議員、首長、そして地方議員のことをさします。
公職者の給料は公費から支出されます。地方議員を例にすると、地方自治体の予算に議会費が計上されますが、その内訳に議員報酬という項目があって〇億円といった金額が記載されています。これが議員の給料です。
地方自治体の予算は基本的に税金で成り立っていますので、地方議員の給料のもとをたどれば税金です。
立場の課題
政治家の種類で比較すると、国会議員と首長は常勤であり、地方議員が非常勤という扱いが問題と指摘する声もあります。戦前までは地方議員は無報酬の名誉職であったという歴史的経緯を引きずってこのようになっているようです。この問題は議論が続いていますが、すくなくとも地方議員を「公選職」など特別の呼称であらわすことが必要だとの声もあります。
一方、非常勤であることを積極的に認めていこうとの考えもあります。地方議員は住民意思の決定機関であるので、住民に近い所に活動の場を得ていること、つまり、議員以外の民間の仕事も兼業で持つことが議員の任務を果たすのに役立つとの考え方です。私自身はこの考え方に賛同している一人です。
非常勤の特別職公務員
地方公共団体では、条例により公務員の区分として特別職を設けています。この職種は、定年や労働時間規制などのある一般職とは区別されます。具体的に市の場合ですと、市長、副市長、会計管理者、公営企業管理者、教育長などとならんで、議員も特別職です。
また、公務員には常勤、非常勤という区分もあります。市の場合ですと、非常勤には教育委員、民生委員、農業委員などに加えて、議員も非常勤です。殆んどの場合には業務の日数に従って報酬が支払われますが、議員に関しては月額報酬を決めて支払います。
まとめ
地方議員の仕事とは、
- 人の役に立つことをするやりがいのあること
- 他の職業と兼業をしてもよい
- 報酬も決して悪くない水準
と言えるでしょう。
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