政党に入るか、無所属で活動するか。
地方議員を目指す人にとって、これは選挙だけでなく、当選後の議員活動にも関わる大切な選択です。
政党に所属すると、政策を学ぶ機会や所属議員とのつながりが得られ、選挙で支援を受けられる場合もあります。政治活動を支える資金面で、一定の利点が生まれることもあるでしょう。
一方、党の方針との調整が必要になり、政党全体の評価が自分の活動に影響することもあります。
政党に所属することには、メリットとデメリットの両方があります。
目先の選挙だけでなく、自分がどのような議員になり、どのような政治活動を続けたいのか。その視点から考えることが大切です。
この記事では、地方議員と政党の関係について、基本的なポイントを取り上げます。
公共政策コンサルタント
◆山辺の3つの視点◆
①国の行政視点:経済産業省(旧通産省)で培った視点
②国際機関の視点:国連勤務経験を生かした視点
③地方の視点:県議会議員時代の現場重視の視点
山辺は県議時代の2000年に、「地産地消政策」を、全国初で実現した。
「政党に入る」と「政党公認」は同じではない
政党との関係を考えるときは、いくつかの言葉を分けて考える必要があります。
たとえば、政党の党員になること、政党から公認を受けて選挙に出ること、推薦を受けること、立候補の際に党派名を届け出ることは、すべて同じ意味ではありません。
政党に所属していても、必ず公認候補になるとは限りません。また、公認と推薦では、政党との関係や受けられる支援の内容が異なる場合があります。
制度や運用は政党によって違うため、所属を検討するときは、公認や推薦の条件、当選後に求められる活動などを事前に確かめておく必要があります。
なお、地方議会議員選挙の立候補届には、党派を記載する欄があります。
政党や政治団体の名称を党派として届け出る場合には、選挙管理委員会から所属党派証明書などの提出を求められます。無所属として届け出る場合、通常は所属党派証明書を提出しません。
ただし、必要書類や記載方法は選挙によって確認が必要です。立候補する自治体の選挙管理委員会が行う事前審査や説明会で、必ず確かめてください。
地方議員が政党に入るメリット
政策や議会活動を学ぶ機会がある
政党では、所属する地方議員を対象に、政策、地方行政、議会活動などに関する研修会が行われることがあります。
新人議員や立候補を考え始めた人にとって、法律や予算、議会での質問などを学べる環境は、大きな助けになるでしょう。
全国や都道府県内の所属議員と交流し、ほかの自治体の取り組みを知る機会が得られることもあります。
地方議員は、地域の課題に向き合う一方で、国の制度や法律の動きも把握しなければなりません。政党の情報網を通じて、政策に関する情報を得やすくなることは、所属するメリットの一つです。
所属議員と連携しやすくなる
地域の問題には、市町村だけでは解決できないものもあります。
都道府県や国の制度に関係する課題について、同じ政党の都道府県議会議員や国会議員と連携できる場合があります。
もちろん、政党に所属すれば、すべての要望が実現するわけではありません。
それでも、異なる議会に所属する議員と情報を共有し、地域の課題を伝えられる関係があることは、政治活動を進めるうえで一つの基盤になります。
選挙で支援を受けられる場合がある
政党から公認や推薦を受けると、政党名を掲げて選挙に臨むことができます。
政党や地域組織によって異なりますが、所属議員による応援、広報面での協力、選挙に関する助言などを受けられる場合があります。
政党の政策や考え方に共感する有権者から、候補者を知ってもらいやすくなることもあるでしょう。
ただし、支援の内容や条件は一律ではありません。公認を受ければ十分な支援が当然に得られる、と考えないことも大切です。
政党に所属すると資金面のメリットもあるのか
政党への所属を考えるとき、政治活動を支えるお金は気になるところです。
政党や政党支部は、党費、寄附、政党からの交付金などをもとに活動しています。所属する地方議員の政治団体に対して、政党側から政治活動のための支援が行われることもあります。
また、政党から公認や推薦を受けた候補者に、選挙に関する一定の支援が行われる場合もあります。
ただし、誰が、どのような支援を、どの程度受けられるかは、政党や地域組織、公認の条件などによって異なります。
政党に入れば、当然に多額の資金を受け取れるということではありません。
さらに、政党や政治団体が扱うお金は、個人が自由に使えるお金ではありません。政治活動や選挙運動のために適正に使い、収支報告などの手続きを行う必要があります。
企業や団体からの政治献金についても、寄附できる相手や金額などに法律上の制限があります。資金面だけを見て所属を決めるのではなく、制度と責任を理解しておくことが大切です。
地方議員が政党に入るデメリット
党の方針との調整が必要になる
政党に所属すれば、自分の考えだけでなく、党の政策や方針を意識して活動することになります。
地域の事情と党の方針が、いつも完全に一致するとは限りません。
議案への賛否や政策の発信について、党内での調整を求められる場合もあります。
地方議員には、地域住民の声を議会に届ける役割があります。その一方で、政党に所属すれば、党の一員として説明責任を負う場面も生まれます。
自分が大切にしたい政策と、政党の基本的な考え方が合っているかは、所属前に確認したいところです。
政党全体の評価に影響される
政党名を掲げて活動すると、その政党に対する評価が、地方議員本人への評価にもつながります。
国政での政策や、所属議員の不祥事など、自分が直接関わっていない問題について、有権者から説明を求められることもあるでしょう。
反対に、政党への期待が高まれば、その追い風を受けることもあります。
政党の看板は、よいときだけ利用できるものではありません。所属する以上、政党全体に向けられる信頼と批判の両方を受け止める必要があります。
支持してもらえる範囲が変わることもある
地域の選挙では、候補者の人柄、活動実績、地域との関係を重視する有権者も少なくありません。
政党名を明らかにすることで支持を得やすくなる場合がある一方、特定の政党に所属していることを理由に、距離を置かれる可能性もあります。
ただし、政党所属と得票の関係を単純に判断することはできません。
自治体の規模、地域の政治状況、候補者の経歴、政党への評価など、多くの事情が関係するからです。
どの党派なら有利かという見方だけでなく、所属理由を有権者に誠実に説明できるかを考えることが重要です。
党費や活動上の負担が生じる場合がある
政党に所属すると、党費の負担、会議や研修への出席、党の行事や広報活動への協力などを求められる場合があります。
地方議員自身の議会活動や地域活動に加えて、党員としての活動も必要になることがあります。
具体的な負担や決まりは政党によって異なります。
名称や知名度だけで判断せず、党の規約、公認の条件、日常的に求められる活動なども確認しておきましょう。
地方議員には無所属が多いのか
地方議員の党派構成を見ると、議会の種類によって違いがあります。
一般に、都道府県議会では政党所属の議員の割合が高く、市区議会、町村議会と地域に近い議会になるにつれて、無所属議員の割合が高くなる傾向があります。
ただし、この違いを、選挙の当選ラインだけで説明することはできません。
都道府県議会では国の政策や政党との関係が見えやすい一方、市町村議会では、生活に近い地域課題や候補者個人の活動が重視されやすいと考えられます。
また、「無所属」として立候補した議員が、政党とまったく関係を持っていないとは限りません。
政党から推薦を受けている場合や、議会内で政党に近い会派に所属している場合もあります。立候補時の党派だけで、議員と政党との関係をすべて判断することは難しいのです。
政党に入る前に考えたいこと
政党に入るかどうかを決めるときは、選挙で受けられる支援だけに目を向けないことが大切です。
まず確認したいのは、自分の政治信条や実現したい政策と、その政党の基本方針が合っているかどうかです。
次に、公認や推薦を受けるための条件、当選後に求められる活動、党費などの負担を確かめます。
地域の有権者に対して、「なぜこの政党に所属するのか」を自分の言葉で説明できるかも重要です。
選挙のときだけ政党名を利用し、都合が悪くなれば距離を置くという姿勢では、長期的な信頼を得ることは難しいでしょう。
政党に所属する場合も、無所属を選ぶ場合も、その立場に責任を持って活動することが求められます。
まとめ
政党に所属する地方議員には、政策を学ぶ機会、所属議員との連携、選挙や政治活動への支援などのメリットがあります。
一方で、党の方針との調整、政党全体への批判、党員としての活動や負担なども生じます。
無所属であれば何の制約もない、政党所属なら必ず有利になる、という単純なものではありません。
大切なのは、目先の当落や資金面だけではなく、自分がどのような政策を掲げ、当選後にどのような議員活動を続けたいのかを考えることです。
政党に入るかどうかは、自分の政治信条、地域の状況、政党の方針や条件を確かめたうえで、慎重に判断してください。
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