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【今井絵理子議員入院⁉】タレント議員を生む政治の課題【議員の苦悩】 

この記事では、今井絵理子参議院議員が最近になって入院したという事実に焦点を当てつつ、彼女の政治キャリアの軌跡と、それが日本の政治文化に投げかける問いに迫ります。

記事内容

  1. 今井絵理子議員が国会を欠席
  2. 今井氏の人気と実績
  3. タレントを政治に起用する背景と影響
  4. なぜ日本だけが、知名度優先の国会議員が誕生するのか
  5. 知名度優先の選挙は誰が仕向けるのか
  6. 今井絵理子議員が直面しているであろう苦悩

日本の政治は時に予想外の人物が登場する舞台であることがあります。その一例が、かつて国民的アイドルグループ「SPEED」のメンバーとして輝かしいキャリアを築いた今井絵理子氏の政界入りです。アイドルから政治家へという異色の転身は、多くの注目とともに、彼女に新たな挑戦をもたらしました。しかし、その華やかな表面下では、彼女が直面する政治的・個人的試練が続いています。

今井絵理子参院議員が入院⁉

早速、ニュースをご覧下さい。

「今井絵理子」参院議員が1ヵ月間「国会を欠席」していた… 事務所に訊ねると返ってきた意外な答え
人気アイドルグループ・SPEEDの元メンバーで、自民党所属の参院議員・今井絵理子氏(40)が、約1ヵ月前から体調を崩し、国会を欠席し続けていることが、関係者への取材で明らかになった。

引用元:Yahoo!ニュース

現在は入院していると情報もあります。

今井絵理子議員の任期は?実績は?

今井絵理子議員の任期は2028年まであと4年あります。

これまでのことを簡単にさかのぼってみましょう。

2016年に、集票力を買われて、自民党で全国比例から出馬し、初当選。参議院議員となりました。

2016年の参院選は2015年6月17日に18歳選挙権が成立して、選挙権年齢が20歳以上から高校生を含む18歳以上に引き下げられてから初めての国政選挙でした。

国は「18歳からの選挙権」と題して、18歳を迎えたばかりの「広瀬すず」さんをイメージキャラクターに起用してキャンペーンを展開し、キャッチフレーズは「選挙は私たちが主役です」「日本の将来を決めに行こう」でした。

こうした状況の中で自民党が全国区比例代表候補にスカウトしたのが、当時32歳の元アイドルグループ・スピードの今井絵理子さんでした。

今井絵理子議員の実績は、自民党の得票に貢献したことと言えるでしょう。

2016年参院選では自民党の全国比例当選19人中、第5位の319,359票を獲得して政治経験ゼロでも期待通りの集票力を示しました。

今井絵理子議員の残念な実績

今井絵理子議員は、初当選の翌年、2017年に元神戸市議の橋本健氏との不倫疑惑が報じられたため、当選はしたものの集票力は初当選から下がる一方でした。

その結果、2022年の参院選では、初当選時の半分の集票、自民党の全国区当選18人中第15位の148,630票まで低下したのです。

2023年7月、自民党女性局のメンバーの一人としてフランスへの研修旅行に参加して、SNS投稿により“税金の無駄”と批判され、今や集票力はないとまで言われています。

今井絵理子議員などのタレントがなぜ重用されるのか

「人気投票」的選挙をしたいとしか思えない政党幹部

タレントがなぜ重用されるのかと問われれば、理由は単純です。タレントは全国的な知名度があり、いわば「人気投票」的に選挙ができるからです。

「衆院比例代表選挙」や「参院全国区比例選挙」では、票の期待できる候補者として政党がタレントをスカウトするケースは珍しくありません。むしろ常態化していると言えるでしょう。

では、タレントを、選挙の候補者にしようとするのは一体誰なのでしょうか。

首長や地方議員の中には、現在の国会議員よりも力量がある人はいくらでもいます。そんな人を推す声が全国からあがり、その力量をしっかりと検討して、国会議員の候補者を決めないのはなぜでしょうか。

先進国では、国会議員の候補者に対しては、当然のことながら、政治家としての力量や資質などを、日本とは比べ物にならないほど、しっかり有権者が判断していく仕組みがあるのです。

なぜ日本にはないのでしょうか。

まるで力量や資質よりも「人気投票」的に、知名度優先で選挙をしたいという意向が働いているかのようです。

さて、国会議員のタレント候補者は、政党幹部がタレントをスカウトしています。

政党幹部が、「人気投票」に勝てそうなタレントを候補者になってほしいと口説き落とし、承諾が得られたら、タレント候補者の誕生です。

その後、政党幹部から全国の党員や地方議員に「今度の選挙はこのタレントが候補者です」と、鶴の一声のように知らされるのです。選考過程の詳細はわかりません。

そして「あと、ヨロシク!」で選挙が始まると言えるでしょう。

《 他の先進諸国では、地方議員として能力を磨いてから国会議員に挑戦する仕組みが出来ていることを次の記事では解説しています。 》

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保身を図る現職国会議員から見たタレント議員

タレントを国会議員の候補者にしたいという声は、一般の党員や地方議員からはほとんど聞いたことがありません。

選挙区の有権者や党員は、地元に貢献してくれる国会議員が欲しいのです。

地元で活躍する地方議員や首長の中にも、国会議員として十分に活躍できる実力をもつ人材がいるものですが、そういう人材を煙たく思っているのが、実は、選挙区の現職国会議員という声もあります。

選挙区の現職国会議員は、自分の地位をいつか脅かすかもしれない政治家としての力量のあるライバルは、同じ土俵で国会議員にならないよう、排除したいのが本心なのかもしれません。

ですからたとえ比例代表選挙であっても、自分の選挙区で、自分より実力のありそうな地方議員や首長が候補者になられては困るのが本音なのでしょうか。

それよりも、政治のことなどよくわからないタレントを据えたほうが、自分の立場は安泰でいられるというのが本音ではないかと、疑う声すら聞こえてきます。

《 日本の政治システムは、志や能力があっても国会議員になれない風土がある原因を次の記事では分析しています。 》

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政党や派閥は数を確保するため、イエスマンが欲しい

政党の候補者選考の過程に、政治家としての力量や資質、経験がどのように考慮されたかは、党員にすら確かめる手段がありません。

政党が国会で持つ力とは、結局のところ議案採決を左右する国会議員の数なのです。

また自民党を例にすれば、派閥の力とは、その派閥に所属する国会議員の数なのです。

数の勝負が多数決ですから、いちいち意見する議員よりも、イエスマンの議員が多い方が、派閥の幹部にとっては好都合でしょう。

タレント議員は派閥が数を確保するためのイエスマンとしてスカウトしているのかもしれません。

知名度だけで選ばれる議員の役割

知名度だけで選ばれる議員の役割はこう表現できます。

①選挙で当選して政党や派閥の議席数確保に貢献すること
②国政選挙や地方選挙にマスコット的な存在として、政党や派閥の候補者を応援して議席数確保に貢献すること

数の確保のために存在させられているのが、もしかしたら「人気投票」的選挙で勝ち抜いてきたタレント議員なのかもしれません。

タレント議員の苦悩

政党と派閥に貢献するだけであり、日本の政治に実質的な貢献が求められていないタレント議員。

そのことは本人も当然意識せざるを得ないでしょう。政治経歴が無く知識も経験も不足していることはなによりも気にするところとなります。

これはある意味残酷な処遇ではないでしょうか。タレントの時よりも報酬が少ないとの発言が、あったともいわれていますが、だとしても、報酬に見合わない働きしかできないことを自覚したとき、人は平常心を失っていくものです。

日本のためにと出馬を要請され、純粋な気持ちで国会議員になったとしても、政治家には政治家としての力量が必要です。タレントとしての力量とは違う力がいるのです。

 

そこに気が付くころには、自分を乗せてくれていた神輿の担ぎ手はいなくなっている。これがタレント議員が味わう最大の苦悩ではないでしょうか。

今井絵理子議員の場合は、一世を風靡した人気スターですから、全国に多くのファンもいたことでしょう。彼らが憧れたスター、今井絵理子さんに、本気で国会議員であることを求めていた人が多かったとは思えません。ファンもまた踊らされたことに心を痛めているのではないでしょうか。

【まとめ】今井絵理子議員の入院から読み解く日本の政治

今井絵理子議員は自民党所属の参議院議員であり、元SPEEDメンバーである
今井氏は約1ヵ月前から体調を崩し、国会を欠席し続けている
現在、今井氏は入院しているとの情報がある
今井絵理子議員の任期は2028年まであと4年である
2016年に全国比例から出馬し、初当選した
今井氏の得票数は初当選時に319,359票であり、自民党内で第5位の成績であった
2017年に元市議との不倫疑惑が報じられた
2022年の参院選では得票が減少し、148,630票で自民党全国区当選18人中第15位であった
自民党女性局のメンバーとしてフランスへの研修旅行に参加し、税金の無駄遣いと批判された
タレント候補者が重用される背景には、全国的な知名度と「人気投票」的な選挙戦略がある
現職国会議員や政党幹部は実力よりも知名度を重視してタレントを候補者にすることが多い
タレント議員は主に政党や派閥の議席数確保に貢献する役割を担っている
タレント議員は政治力量や資質が不足していると自覚していることもある
今井絵理子議員は政治家としての力量が求められている中での苦悩があると考えられる
彼女のファンも、政治家としてではなく、スターとしての姿を憧れていた可能性が高い

今井絵理子議員の現在の状況は、彼女の政治キャリアにおける数多くの挑戦と変遷を象徴しているかもしれません。

国会議員としての彼女の道のりは、明るいスポットライトの下での輝かしいスタートから、個人的な問題や公の批判による苦悩まで、多岐にわたっています。

しかし、彼女のようなタレント出身の政治家が直面する困難は、単に個人的な問題に留まらず、日本の政治システムと有権者の期待との間に存在するギャップをも浮き彫りにします。

この事例から、我々有権者は政治家を選ぶ基準、政党が候補者を選ぶ基準、そしてメディアが政治報道を行う方法について、再考する機会を得ることができるのではないでしょうか。

今井議員の回復を願いつつ、彼女のケースが日本の政治におけるより広範な議論と改革の触媒となることを期待しています。

>本ブログ3つの特色

本ブログ3つの特色

【①地方議員向けに特化した情報】
既存の議員関連情報(マスコミ報道や選挙マニュアル等)は国会議員を想定したものが中心です。地方議員の実情に合った情報をお探しの方におすすめです。

【②議員当事者ならではのノウハウや実情が豊富】
連続6回当選の元県議会議長が、勝ち抜いてきたノウハウを公開しています。保守三つ巴の熾烈な選挙戦や、他の候補者の選対として培ったノウハウもご紹介します。

【③ 地方議員と支援者への応援情報】
官僚・国連勤務・県議経験者の筆者が、地方議員からは見えにくい「国会議員と地方議員の違い」「他国と日本の違い」をふまえて解説しています。選挙法規等は議員目線で読み解いています。議員活動を支えた妻も、人材育成業の経験を活かし、わかりやすい情報を目指して執筆に加わっています。