選挙への立候補を考えると、「告示前はどこまで活動してよいのか」と迷うことがあります。
政策を伝えることはできるのか。挨拶回りやSNS発信は問題ないのか。住宅や事業所を訪ねると戸別訪問になるのか――。
告示前でも政治活動はできますが、特定の選挙で投票を求める行為は、事前運動と判断される可能性があります。
また、同じ行動でも、時期、目的、相手、方法によって判断が変わることがあります。
この記事では、選挙告示前にできることと、避けるべきことの基本を、挨拶回り・戸別訪問・SNSを中心に整理します。
個別の活動については、自己判断せず、管轄の選挙管理委員会などに確認してください。
公共政策コンサルタント
◆山辺の3つの視点◆
①国の行政視点:経済産業省(旧通産省)で培った視点
②国際機関の視点:国連勤務経験を生かした視点
③地方の視点:県議会議員時代の現場重視の視点
山辺は県議時代の2000年に、「地産地消政策」を、全国初で実現した。
選挙告示前とは
地方選挙では、立候補の受付が始まる日を「告示日」といいます。
衆議院議員総選挙と参議院議員通常選挙では「公示日」と呼ばれます。
公示日または告示日に立候補の届け出が受理されると、選挙運動を行える期間が始まります。それより前が、一般に「公示前」「告示前」と呼ばれる時期です。
政治活動と選挙運動の違い
告示前の活動を考えるうえで重要なのが、政治活動と選挙運動の違いです。
政治活動とは、政治上の目的をもって行われる活動のうち、選挙運動にあたらないものをいいます。
一方、選挙運動とは、特定の選挙で特定の候補者を当選させるために、投票を得ようとして行う活動です。
選挙運動は、原則として立候補の届け出が受理されてから投票日前日までしか行えません。
そのため、告示前に「今度の選挙で投票してください」と呼びかければ、事前運動と判断される可能性があります。
大切なのは、活動の名称ではなく、実際の目的や内容です。
「政治活動」「挨拶回り」と呼んでいても、実質的に投票を求める内容であれば問題になることがあります。
選挙告示前にできること
告示前でも、政治活動として行えることがあります。
たとえば、政策や政治理念を伝えること、地域課題について意見を聞くこと、日頃の活動を報告することなどです。
SNSやホームページで、自分の考えや活動内容を発信することもできます。
また、政治活動として会合を開き、地域の課題について話し合うことも考えられます。
ただし、どの活動でも、特定の選挙での投票依頼にあたらないよう注意が必要です。
名称や形式だけでなく、発言内容、配布物、開催時期などを含めて判断されます。
地域の人を訪ねる場合も、「声を聞くためなら何でもできる」とは限りません。
住宅や事業所への訪問は、目的や方法によって戸別訪問との関係が問題になるため、慎重な確認が必要です。
選挙告示前にやってはいけないこと
告示前に避けなければならないのは、選挙運動にあたる行為です。
特に注意したいのが、次のような行為です。
- 特定の選挙で投票を依頼する
- 選挙運動用の文書を事前に配る
- 選挙区内の人や団体に寄付や物品を提供する
- 投票を得る目的で戸別に訪問する
対面だけでなく、電話、手紙、メール、SNSによる投票依頼も問題になる可能性があります。
また、「討議資料」「政治活動用」と表示していても、内容が投票依頼を目的とするものであれば、名称だけで認められるわけではありません。
寄付についても、祝い金、香典、差し入れ、記念品などが規制の対象になることがあります。善意や日頃の付き合いであっても、慎重な確認が必要です。
選挙前の挨拶回りはできる?
挨拶回りは、名称だけで適法かどうかが決まるものではありません。
日頃の政治活動として地域の人に考えを伝えたり、地域課題を聞いたりすることが、直ちに選挙運動になるとは限りません。
一方で、実際の目的が特定の選挙での支持や投票を求めることであれば、事前運動と判断される可能性があります。
明確に「投票してください」と言わなくても、訪問の時期、話の内容、配布物などから判断されることがあります。
挨拶回りを予定している場合は、政治活動の範囲を超えていないか、事前に確認しておくことが大切です。
戸別訪問は違法になる?
公職選挙法では、投票を得る目的で住宅、会社、商店などを一軒ずつ訪ねる戸別訪問を禁止しています。
これは選挙運動期間中であっても同じです。
ただし、すべての訪問が直ちに戸別訪問になるわけではありません。目的、時期、相手、会話の内容などによって判断されます。
「告示前なら自由に訪問できる」「政治活動と説明すれば問題ない」と単純に考えないよう注意しましょう。
告示前にSNSを使うときの注意点
告示前でも、SNSやホームページを使って政治的な考えや活動内容を発信できます。
ただし、SNS上であっても、告示前の投票依頼はできません。
本人だけでなく、支援者による投稿にも注意が必要です。投稿は削除しても、画像や転載によって残ることがあります。
発信する前に、政治活動としての情報提供なのか、特定の選挙で投票を求める内容になっていないかを確認しましょう。
判断に迷ったときは確認する
公職選挙法では、一つの言葉だけでなく、目的、時期、場所、方法などを含めて判断されることがあります。
「ほかの人もしている」「以前は注意されなかった」という理由だけで、問題がないとは限りません。
判断に迷う場合は、予定している活動を具体的に伝えたうえで、管轄の選挙管理委員会や、選挙実務に詳しい専門家へ確認してください。
まとめ
選挙告示前でも、政策や政治理念の発信、活動報告、地域課題についての意見交換など、政治活動を行うことはできます。
一方で、告示前の投票依頼は事前運動と判断される可能性があります。戸別訪問、寄付、文書の配布、SNS投稿にも注意が必要です。
告示前は、選挙を有利に進めるための技術を競う期間ではありません。
地域の課題を知り、自分がなぜ政治に関わろうとしているのかを考え、その思いを適切な形で伝える期間です。
ルールを守りながら活動することが、地域からの信頼にもつながります。
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