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【選挙】有力者(経営者・団体の長)をあてにしてはいけない理由【地方議員の票田】

選挙で当選するために「有力者」に応援してほしいと願う候補者は多いはず。
けれど、「有力者」がどのような判断で、どの候補者を応援するのか、その現実を理解している人は、意外と少ないように思います。

筆者について】
山辺美嗣、もしくは山辺美嗣の情報をもとに夫婦で執筆しています。

やまべみつぐ(山辺美嗣)
通産官僚、国連(ジュネーブ)、独法(ニューヨーク)での勤務を経て、その後県議会議員に。日本初の地産地消政策や、地方議員としてロシアとの直接交渉などを実現しました。保守三つ巴の熾烈な選挙戦や、他の候補者の選対としても活動した経験を基に執筆しています。現在、政治行政のコンサルタント。

やまべちかこ(山辺千賀子)
元人材育成コンサルタント。ニュースキャスターや番組ナレーター(恩師|お茶の水博士・ベルクカッツェ)、女性組織創設運営などの活動を地方で行ってきました。議員の妻としての立場、認知症や身障等の家族(計5人)との暮らしなどで経験したノウハウもお伝えしています。

夫の議員引退を機に、故郷の雪国から子や孫のいる関東に転居。孫4人。

こんな方に

  1. 有力者を味方につけて選挙に当選したい
  2. 地元で名の通った経営者や、団体の長などから、支援してもらいたい
  3. 懇意にしているはずの「有力者」が、なぜ選挙になるとあてにならないのか

目次から必要個所をクリックしてご覧下さい。

候補者が、「有力者」に対してしてしまいがちな胸算用とは

議員をめざす候補者は、

知り合いに「有力者」がいるから、選挙に勝てるかも♪

と考えたりしませんか。
うーん、これは、なかなか難しいことです。

 

がんばるくん
あの社長も、あの会長も、私の話をいつもニコニコして聞いてくれる。立候補したら当然、応援してくれると期待してたんですが。
やまさん
甘い夢をみていては危険ですよ。

 

立候補前には、こんな胸算用をしがちです。

「〇〇会社の社長さえ、うんと言ってくれれば、勝算はある」
「〇〇団体のトップとは親しくしているので、選挙になれば力になってくれるはずだ」

こうなったら、ホント、嬉しいのですが、あんまり期待しないほうがいいかもしれません。

身もふたもない表現をすれば議員になれるかどうか、まだわからない人物の意見やお願い」を、受け入れる有力者はいないのです。

有力者は、よい政策やよい考えは、にこやかに聞いてくださるはずです。
もちろん内容も十分理解されるでしょう。

けれど「世間での実績や評判を伴わない人物」を受け入れることはないのです。

候補者の有力者への期待は、こんな感じでしょうか。

「有力者」が味方についてくれれば、その影響下にある人も味方になってくれるはずだ!

つまりこう考えます。

1 候補者「私を応援してください」
2 有力者「よし、応援するぞ」
3 多くの人「有力者がいうなら応援するぞ」
4 候補者 「ありがとうございます」

 

上の順番で進んでいるように見えているかもしれません。


実際は、その前にAからIのプロセスがあるんです。

A 候補者「私を応援してください」
B シラーッ

C 候補者「私を応援してください」
D 何人か「まあ一応、応援するね」

E 少し人が増える「あの人も〇〇候補を応援してるって」
F 次第に人が増える「〇〇候補、応援しよう」

G  有力者に届く声「〇〇候補は、いいようです」

H 有力者が相談「〇〇候補を応援すべきか」
I 有力者に影響力ある人「いいんじゃない」


1 候補者「私を応援してください」
2 有力者「よし、応援するぞ」
3 多くの人「有力者がいうなら応援するか」
4 候補者 「ありがとうございます」

「有力者」は、多くの人が応援しそうな人をみきわめてから、誰を応援するかを決める。

 

やまさん
無害な相手にはにこやかに対応するけど、敵になる恐れがある相手にはとたんに厳しい顔になる。これが現実でしょう。
がんばるくん
小学生が相手なら、可愛がることもできるけど、大人が相手だとそんなわけにいかないのと同じですね。

 

 

「有力者」みずからが率先して「この候補者を応援しよう」ということは、まずありえません。
世間での実績や評判あってこそ、です。
これから立候補しようとする人で、この現実をちゃんと理解している方は多くはないと思います。

志、能力、政策があれば、有力者は、耳を傾けてくれるはずだという期待があるからでしょう。

 

では、

「有力者」がどんな候補者を応援するのか、

候補者はどのように選ばれるのか

など、その背景をご紹介していきますね。

有力者をはじめとする、有権者の皆さんの実情をよく理解することが、当選に向かう道となるはずです。

「有力者」の立場とは、どのようなものなのか

「有力者」の立場とは、「私」よりも「公」優先の判断を求められる

誰だって、自分の都合を優先したいと思っています。
でも、他の人をきづかうことが、結局は自分のためになるとも分かっているのです。

がんばるくん
美味しそうなお菓子をいただいた、一人で全部食べたいなあ。
がんばるくん
・・・でも、ひとり占めせずにみんなで分けて食べよう。恨まれるとこわいし、ですね。
やまさん
ははは、お菓子のたとえに、あなたの食いしん坊ぶりが出てるなあ。

 

「有力者」も同様です。
特に「有力者」ともなると

自分の都合を優先したくとも、

世間がどこまで許容してくれるか、

この判断を誤ると、自分が転落する

ことをよく知っています。

そして、自分の転落は、多くの人に影響を与えることも知っています。

「有力者」とは多くの人に影響力をもっているから「有力者」といわれているのです。

有力者とは、「私」よりも、「公」優先の判断を求められる立場

しかし!「公」を優先しつつ、「私」を犠牲にすることはないのが「有力者」

有力者は、「公」優先の判断を、建前として打ち出しながら、実は、「私」の利をちゃんと狙います
これが、「有力者」の有力者たるゆえんかもしれません。

がんばるくん
え? どういうこと?
やまさん

腐敗の根源になってることもあるなあ

 

では、ここからは、あなたが「有力者」になったと想像してみてくださいね。
その立場になって考えると見えてくるものがありますよ。

もしあなたが「有力者」なら、どっちの候補者を応援する?

まずは、「有力者」の典型的な二つのタイプをご紹介します。

あなたの知人にも、次の「有力者」に当てはまる人はいらっしゃいませんか。
自分がそれぞれの立場になったことを想像しながらお読みください。

経営者:地元経済に影響力をもつ会社の経営者など
団体の長:消防団、商工会議所、商工会、中小企業同友会などの長

 

 

 

【経営者:地元経済に影響力をもつ会社の経営者など】になったつもりで想像してみる

では早速、ひとつめの「有力者」のタイプを想像します。
あなたは自分が「こんな経営者」だと想像してみてください。

設定

あなた:〇〇建設会社「社長」

社員とその家族の人生に責任がある。
下請けなど関連企業への責任もある。
会社の存続発展という重責がある。
会社が「もうかるように」「損しないように」と常に判断している。

 

 

では、おたずねします。
どちらの、候補者を応援するでしょうか。

候補者A:志があり有能
候補者B:大口取引先関係筋から出馬予定

大口取引先関係筋から出馬予定「候補者」の応援要請を断れますか?
自社の今後の経営に悪影響があったら困ると考えるのは当然といえば当然でしょう。

 

経営者の多くが行う判断

「候補者B」大口取引先関係筋から出馬予定の候補者を、会社のためにも応援する

リスクはとりたくないのです。
「会社が損してもらっては、困る」と、多くの従業員の皆さんも、その家族も、そう願っていらっしゃるのではないでしょうか。

仮に「候補者A」が、どんなに志があり有能な人物であっても、応援しないのです。

 

 

がんばるくん
力関係が似ていて、どの候補者を応援するか、迷う時は?
やまさん
どちらが勝ち馬になるか、世間の様子をみてから決めることも多いですね。
がんばるくん
応援を頼むほうとしては、「あの有力者なら志が通じるはずだ」と期待すると思うんですが。
やさまん
地域経済に影響力をもたない候補者を、有力者が応援することは、まず無い。現実は厳しいですね。

 

「損するか、得するか」これが会社経営者の判断基準となっています。

経済の基準が「もうかるか、もうからないか」「得か、損か」に偏重していることが原因でしょう。
こんな社会を変えていくためにも、志ある議員が増えてほしいと願っています。

では、もう一つの「有力者」の立場も想像してみましょう。

 

【団体の長:消防団、商工会議所、商工会、中小企業同友会などの長】になったつもりで想像してみる

あなたは自分がこんな「団体の長」だと想像してみてください

設定

あなた:消防団「団長」

多くの消防団「団員」から信頼を得ている
消防団「団長」という立場は、自分が経営している会社にもプラスの影響がある
会社経営のためにも、消防団「団長」という立場は大切にしている
地域経済では自社と競合しているA社やB社からも、消防団「団長」の立場で尊重される

 

がんばるくん
「団体の長」は、どこかの会社の社長とか、現職議員とかが多いですね。
やまさん

団体の長は「公」優先の立場のようで、個人の立場にも直結している、そう考えたほうがいいですね。

 

 

さあ、あなたが消防団「団長」なら、どちらの、候補者を応援しますか?

 

候補者A:志があり有能
候補者B:消防団「団員」として活動を続けてきた

あなたが消防団「団長」なら、当然、消防団の「団員」である「候補者B」を支援するのではないでしょう。

 

有力者、「経営者」や「団体の長」は、応援する候補者をどのように決めるのか

 

  • 「私」自分の好き嫌いなどよりも、「公」会社や団体の都合を優先する
  • この場合の「公」は、限りなく「私」にもプラスになる

 

やまさん
もちろん「団体の長」は、損得勘定がうまいだけでなれるものではないですよ。
がんばるくん
地域の世話役として汗をかかない人が「団体の長」にはなれませんよね。
やまさん
ただ、「公」と「私」の両方を利するよう、判断できる立場でもあるということですね。

 

  1. 有力者は、自分の会社や団体にかかるリスクはとりたくない。
  2. 「志と能力」は、候補者選びの判断基準にほとんどなっていない。
  3. 「損得」「しがらみ」こそが優先される

 

ただこれはトップだけの問題ではありません。

会社の従業員「会社が損することをされては困る」

団体の会員「うちの団体メンバーを優遇するのは当然」

 

がんばるくん

ってことは、みんなが「自分にとって大切」な候補者を選んでいるってこと?

やまさん
「自分にとって大切」なものが、いったい何なのか、ここは考えていきたいところですね。

 

安易に有力者をあてにして選挙戦略をたててはいけない背景を見てきました。
ではこの政治環境をどう考えて、選挙に備えればよいのでしょうか。

本ブログが
志ある方のご参考になれば幸いです。

 

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