こうしたケースについてどんな処分が出るかは、今後の推移を見ないとわかりません。
ただ少なくともこうした事件は、その候補者の陣営が選挙法規を熟知していなかったゆえに起きた事件も多くあります。
どうしたら選挙法規を熟知し、違反しなくて済むのか。
それはこう言いかえる事ができます。
違反しないためには、グレーゾーンには決して踏み込まない。
ただ、「選挙違反」の根本の解決にはなりません。
なぜならグレーゾーンが多すぎるからです。
- 【筆者/やまべみつぐ・やまべちかこ】について
- 【やまべみつぐ(山辺美嗣)】
通産官僚、国連(ジュネーブ)、独法(ニューヨーク)での勤務を経て、その後県議会議員に。日本初の地産地消政策や、地方議員としてロシアとの直接交渉などを実現しました。保守三つ巴の熾烈な選挙戦を経験し、他の候補者の選対としても活動しました。現在、政治行政のコンサルタント。
【やまべちかこ(山辺千賀子)】
元人材育成コンサルタント。地方局番組ナレーター(恩師|お茶の水博士・ベルクカッツェ)、女性組織創設運営などの仕事の経験と、議員の妻としての立場、認知症や身障等の家族(計5人)との暮らしなどで経験した暮らしのノウハウ等もお伝えしています。夫の議員引退を機に、故郷の雪国から子や孫のいる関東に転居。孫4人。
選挙法規を理解しやすくする
大変残念なことですが、「選挙法規が難解なまま放置されているために起きた事件も大変多い」という現実は否定できないのではないでしょうか。こうした事件は、違反した「個人」の問題ではなく、志をもって選挙に臨む「議員全員」の問題として、取り組むべき重要課題といえるでしょう。
候補者は、社会をよくしたいと志をたてて選挙戦に臨んでいるのですから(例外的な人物もいるとは思いますが)、違反しないよう法規そのものを理解しやすくする工夫を、立法府、すなわち国会議員に求めることも重要と考えます。
私も、微力ながら、選挙法規を少しでも具体的にお伝えできればと願っています。
選挙制度の信頼性が失われる
選挙関連の法律には、政治資金規正法と公職選挙法があります。
違反すると、罰金はもとより公民権が停止され、時には候補者の「当選無効と公民権停止」にまで波及する厳罰です。
このように厳しい法律であるからこそ、「何が禁止されるのか」具体的に、詳細に示されなければ、選挙制度の信頼性が失われると危惧しています。
わかりやすい選挙制度が、参画しやすい選挙となり、民主主義を支えていくと思うからです。
わかりやすい選挙制度の整備を求める
現状の選挙制度は、法律、政省令、選管告示など、法規全体としてみても複雑であり、理解することは容易ではありません。
特に、何が違反行為であったかについては、実際に裁判となって、判決に至らなければ確定しないことが多いのです。
全国3万2千人の地方議員が、毎年どこかの地方自治体で選挙を経験しています。誰よりも現行の選挙制度の難しさを知っているのが地方議員です。
わかりやすい選挙制度の整備を求めるのは、地方議員の責務ともいえるでしょう。地方議員が連帯して、調査研究を進め、法規の改正が進んでいくことを願っています。
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