応援演説ですぐに使えるスピーチの文例とポイントを解説します。
応援演説には基本的な構成があるので、それに沿って準備をすることが重要です。
この記事を読むとわかること
- 応援演説の基本的な構成
- 自己紹介のしかた
- 候補者エピソードの入れかた
- 地域の課題と候補者への期待の言いかた
- お願いのしかた
本記事は、支援者さん向けです
- 【筆者やまべみつぐ/編集やまべちかこ】について
- 【やまべみつぐ(山辺美嗣)】
通産官僚、国連(ジュネーブ)、独法(ニューヨーク)での勤務を経て、県議に。日本初の地産地消政策や、地方議員としてロシアとの直接交渉などを実現しました。その後、県議会議長に就任。保守三つ巴の熾烈な選挙戦を経験し、他の候補者の選対としても活動しました。現在、政治行政のコンサルタント。【やまべちかこ(山辺千賀子)】
元人材育成コンサルタント。産業カウンセラー・ローカル局ニュースキャスター・ナレーター(恩師|お茶の水博士・ベルクカッツェ)・女性組織創設運営など、仕事の経験と、議員の妻としての立場、認知症や身障等の家族(計5人)との暮らしなどで経験した暮らしのノウハウ等もお伝えしています。議員引退を機に、故郷の雪国から子や孫のいる関東に転居。孫4人。
応援演説の基本的な構成
応援演説の基本的な構成はつぎの通りです。
1【自己紹介】
私は、候補者と「こんな関係にある」○○○○です。
2【候補者エピソード】
「候補者の魅力がわかる」エピソードを紹介します。
3【地域の課題と候補者への期待】
私は、候補者が「地域の△△という課題を解決してくれる」と期待しています。
4【候補者への応援のお願い】
私は、候補者を「こう応援している」ので皆さんにも「こんな応援」をお願いします。
4【候補者への応援のお願い】がとても重要です。
にもかかわらず、4を応援演説で話す人が少ないようです。
ここをしっかり話に盛り込むことで、手ごたえのある応援演説にできるはずです。
応援演説をする「私」が「候補者」について体験したことなどを話すと聴衆は耳を傾けてくれます。
なぜなら、集まっている人たちは、応援演説をする人が誰なのか、どんなエピソードを聞かせてくれるのか関心を持っているからです。
実際にあったことを、具体的に話すよう心掛けてみてください。
【1】自己紹介は二通り準備しましょう
自己紹介は、短いものと長いものの、両方を準備することをお勧めします。
進行上の都合などで、演説の持ち時間を「短めに」と指定されることや、その逆の場合もしばしばあります。その際、二通りの自己紹介を用意しておくことで柔軟に対応できるからです。
短い自己紹介はほとんど「名前だけ」のものです。
① 自分の持ち時間が少ない場合
② 選挙の後半になっており、自己紹介よりも応援の仕方などについて時間をかけて話したい場合
具体例を示します。
【短い自己紹介】
『 私は、□□△△△さんと、小学校・中学校時代に同級生でした、△△〇〇〇〇と申します。現在も甲乙市内に住んでおります。 』
一方、長い自己紹介は「自分が所属する会社や団体の活動紹介」などを盛り込みます。
① 「候補者エピソード」の導入になる場合
② あなたが「立場のある人」であることを示すことが、聴衆によい効果を与える場合
具体例を示します。
【長い自己紹介】
『 私は、△△〇〇〇〇と申します。甲乙市内にある〇〇工業株式会社の役員をいたしており、私は甲乙商工会議所に所属しております。□□△△△さんとは、共に工業部会のメンバーとして、市内製造業が直面する諸課題を解決するために、一緒に取り組んでまいりました 』
【2】エピソードは1つだけがお勧め
候補者のエピソードは、応援演説をする人自身が、実際に見聞きしたものを「1つだけ」取り上げることをお勧めします。
なぜなら、応援演説の目的は候補者のエピソードを数多く並べることではありません。目的は、候補者を当選させようと思ってもらうことなので、限られた時間の中でこの目的に到達するためには、エピソードは「ベストワン」に絞ったほうが効果が高いと思えるからです。
具体例を示します。
【エピソード】
『 早速ですが、私がこれまでの会議所活動の中で感じてきた、□□△△△さんの魅力をご紹介したいと思います。それは「リーダーとして大変信頼できる人物だ」ということです。
それを最初に強く感じたのは、工業部会のメンバーで、他の地域を視察することになったときでした。□□△△△さんは「せっかく視察に行くのだから、前もって目的や問題意識をはっきりさせていこう」とみんなに働きかけてくれたのです。なおかつ「視察から戻ったら、何が参考になったか振り返り、自分たちの会社にどうやって活かしていくのか、きちんとまとめてみよう」とおっしゃったのでした。
視察では、参加者はそれぞれ自分の会社にどのように活かしていくかかという視点を持っているわけですが、みんなで意見交換することで、その力が何倍にもなっていくことを体験しました。
□□△△△さんは、視察の準備段階からずっと、メンバーの世話をやき、アドバイスをし、やる気を引き出してくれたのです。□□△△△さんのおかげで、みんなのコミュニケーションが活発になりました。そして経営者としての原点に立ち返って、自社の発展、ひいては地域の発展に貢献したいと、お互いが影響し合う関係になっていったように思っています。
私は、□□△△△さんによって、視察が大変有意義なものになったと感謝しています。さらには、あの視察をきっかけに、市内製造業の生産高が増加したものと考えています。
現在、工業部会のメンバーは、自分の成長は、会社の発展につながる、会社の発展は、地域の発展へとつながっていくのだと、そんな願いで頑張ってます。思えば、あの視察を通して、お互いの思いを確認し合ったことがきっかけだったのではないかと思います。□□△△△さんが、陰になり日向になり、メンバーを支え、リードしてくれたからです。
私は、□□△△△さんのこうしたリーダーシップは、産業界だけでなく政治の世界でも絶対に役立つものであると確信しております。 』
【3】地域の課題に触れる
「地域の課題」として、自分が「住んでいて」「働いていて」気づく、地域が直面している課題を取り上げることをお勧めします。
応援演説をする方が、その課題について候補者と実際に意見交換したテーマであれば最善です。
そうでなくても、候補者が選挙にあたって掲げる「公約」「政策」に該当しているテーマであれば、地域の課題として触れて良いと思います。
具体例を示します。
【地域の課題】
『 私は△△地区に住んでおりますが、住宅地の狭い道路を子供たちが歩いて通学しているのを心配している者の一人です。信号のない交差路が多く、ひやりとした経験を、私の子供たちからも聞きました 』
『 私は、□□△△△さんなら、必ずこの課題に取り組んでくれると期待しています。なぜなら「安全なまちづくり」は、□□△△△さんが重要視していることだからです 。 ですから、会議所活動のエピソードで申し上げたように、□□△△△さんなら「課題に対して説得力のある提案をしてくれる」ことは間違いないと、私は確信しています 』
【4】私はこう応援する
応援のお願いで演説を締めくくることをお勧めします。
大事なのは「私はこう応援する」を具体的に示して、心から候補者への応援をお願いすることです。
また、選挙の告示前は「投票をお願いすること」は出来ないので、注意が必要です。
選挙告示前の応援は「支援の輪を広げるお願い」になります。
選挙告示後の応援は「投票をお願いする」ことができます。
具体例を示します。
【私はこう応援する(選挙告示前)】
『 私は、自分の友人や知り合いに「□□△△△さんは、いい人だよ」「すばらしいリーダだよ」と何かと話題にしてきました。
□□△△△さんが政治家を目指していると知ってからは、ツイッターやラインでも□□△△△さんについて、発信するようにしてみました。
「□□△△△さんって知ってる? 私の恩人なんだけど、地元の景気と、子どもの安全をなんとかしたいって、頑張ってる。よろしくね」などというメッセージを、発信してみるようにしてみたのです。
すると「知らなかった」「名前はきいたことある」などという反応がありました。まずは「□□△△△」という名前を紹介するだけでも、大切なのだと実感しました。
それからは、メールやラインでつながっている私の友人たちに、□□△△△さんのことを紹介したり、TwitterなどのSNSでつながっている人にも、□□△△△さんについて情報発信をするようになりました。□□△△△さんが、どんな人物か、何にとりくんでいるのか、など、伝えています。
最近は「街頭でのあいさつ」もしていますので「どこどこで何時に、□□△△△さんの街頭あいさつがあるよ」と、SNSやメールなどで知らせるようにしています。ときどき知り合いが「行ってきたよ」と返してくれることもあります。私のこんな小さなことでも、□□△△△さんへの支援の輪は、広がっていくのだと、手ごたえを感じています。
ここで、私から、みなさんへのお願いです。この素晴らしい人物、□□△△△さんへの支援の輪を広げていただきたいのです。 皆さまのお友達やお知り合いの方に、「□□△△△さんて、いい人だと聞いたよ」と話題にして下さい。メールやラインでつながっている方がいらしたら「□□△△△さんは実行力のある人だよ」「信頼されている人だよ」と是非伝えてください。小さな小さな話題で結構です。
もしよかったら、この後、私とラインやメール交換していただけませんか。私が皆様に、□□△△△情報を送りますので、よかったら、転送していただけないでしょうか。転送でなくても、それをもとに、どうか皆さんが周りの人と話をするときの、話題にしていただけますようお願いします。私の心からのお願いです。どうぞよろしくお願いします 』
【私はこう応援する(選挙告示後)】
『 選挙が始まって以来、私は同級生をはじめとする友人たち、私の家族や近所の人たち、会社の同僚や取引先の人たちにも、□□△△△さんは素晴らしい候補者です、どうか、□□△△△さんに投票をお願いしますと、呼びかけてきました。
本日お集まりのみなさん、是非、□□△△△候補者に投票してください。みなさんのご家族、ご友人、お知り合いの方にも、□□△△△さんが、素晴らしい候補者であることを紹介して、是非、投票をお願いしてください。□□△△△さんは私たちの未来に必ず責任をもって取り組んでくれます。□□△△△さんに、どうぞ投票してください。よろしくお願いいたします 』
まとめ
応援演説を依頼される場面は、事務所開き、出陣式、個人演説会、決起大会、街頭遊説などさまざまです。
また、応援演説する方と候補者との関係も、友人、同僚、上司、先輩、後輩、地域の役員、親戚などさまざまです。
どの状況でも、応援演説は基本的な構成にそって準備をしておくと安心です。
応援演説の基本的な構成
1自己紹介
2候補者エピソード
3地域の課題と候補者への期待
4候補者への応援のお願い
なお、これまでの説明の中で「□□△△△」と書いてあるところは、実際の候補者の名前におきかえてください。
耳で記憶した名前は、投票に際してよみがえってくるので、候補者の氏名を演説中に入れることが効果的です。
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