いつものお中元やお歳暮、年賀状
病気見舞いや知人の開店祝いに花を贈る
地元の祭りにお酒の差し入れ
福祉施設に寄付をする
議員をめざしたとたん、届け出をする前でも、法律上「立候補予定者」であり、政治家です。
政治家になった途端に「犯罪」となってしまう行為があるのです。
議員を目指す本人はもちろん、関係者にも是非知っていただきたい重要事項を解説します。 【やまべみつぐ(山辺美嗣)】 【やまべちかこ(山辺千賀子)】 夫の議員引退を機に、故郷の雪国から子や孫のいる関東に転居。孫5人。
通産官僚、国連(ジュネーブ)、独法(ニューヨーク)での勤務を経て、その後県議会議員に。日本初の地産地消政策や、地方議員としてロシアとの直接交渉などを実現しました。保守三つ巴の熾烈な選挙戦や、他の候補者の選対としても活動した経験を基に執筆しています。現在、政治行政のコンサルタント。
元人材育成コンサルタント。ニュースキャスターや番組ナレーター(恩師|お茶の水博士・ベルクカッツェ)、女性組織創設運営などの活動を地方で行ってきました。議員の妻としての立場、認知症や身障等の家族(計5人)との暮らしなどで経験したノウハウもお伝えしています。
こんな方に
- 犯罪となる行為について知っておきたい
- 議員が知っておくべき重要事項が知りたい
- 議員になる以上、間違ったことはしたくない
目次はクリックしてご覧下さい
身近な行為も、政治家には「犯罪」になることが!
冒頭に書いた「身近な行為」、カンのいい方はもうお分かりですね。
選挙区内でこれらを行った場合、すべて「買収」もしくは「寄附」となり、「犯罪」です。
してはいけないというルールに違反したら「犯罪」なのです。
普通の社会的慣習の多くが、政治家には禁止されています。
以下はすべてしてはいけません。
いつものお中元やお歳暮、年賀状
病気見舞いや知人の開店祝いに花を贈る
地元の祭りにお酒の差し入れ
福祉施設に寄付をする
目次から【おさらい「してはいけないこと」】をクリックしてもご覧いただけます。
では、政治家にとって「犯罪」となる身近な行為とはどのようなものなのか、詳しくご説明していきます。
「まさかこんなことが犯罪になるとは」と、多くの方が驚くことかもしれません。
政治家が、お金を渡すのも、品物を渡すのも、食事をおごるのも、全部、犯罪!
他人事と思っていると危険!
「犯罪など、自分には関係ない」と、他人事だと思っている人がいたらご注意ください。
政治家に禁止されていることの一例です。
「普通の社会的慣習」だと思っていることの多くが「違反」となります。
政治家への制約は、有権者のそれとはまったく違うことがお分かりになると思います。
これまで普通にしていた多くのことが禁止されているのが、政治家です。
普通に行っていた「社会的慣習」の多くが、犯罪になる!
「いつもお世話になっています。これはお礼です。」と、ささやかなお金や品物を渡したり、友達との飲食代を「今日は俺が出しとくよ」など、してはいけません。
有権者の立場であれば、これまで全く問題にならなかったこと、むしろ日常のおつきあいを円滑にするために、当たり前に行っていた行為が「犯罪」となるのです。
「犯罪」になる「寄付」「買収」とは
投票の依頼をしなくても、政治家がお金や物品を渡すことは、犯罪です。
※ 寄附に当たらない事例は、下記【政治家が「してもよいこと」は何か】をご参照ください。
選挙運動期間(選挙告示後から投票日前日の間)と、その前後3か月の間に、お金や品物を渡して、投票の依頼をすることを「買収」と言い、「買収罪」という犯罪になります。
つまり、「買収」とは「選挙の時の票目当ての寄付」をさす特別な表現です。
限りなくブラックな「寄付」「買収」の例
日常的に「気をつけるべき行為」とは
日常によくあるシーンで、うっかり違反することがないようにしてください。
特に難しい、飲食を伴うシーンと、物の受け渡しについて解説します。
これらは、地域社会や友人知人との付き合いの中で、日常的に生じることにも関わらず、政治家には禁止されている事ですので、くれぐれも気をつけましょう。
飲食を伴うシーン|ランチ・会食・懇親会・忘年会・慰労会・飲み会など
飲食を伴うシーンで、政治家が行ってもよいこと
〇 政治家自身の会費を、政治家自身が負担して参加する
〇 有権者に、ご馳走してもらう
飲食を伴うシーンで、政治家が行ってはいけないこと
✕ 有権者の会費を、政治家が負担してあげる
✕ 有権者に、ご馳走してあげる
友人知人との会食などでも、ご馳走したりされたりしなかったことを、証明するためには領収書が必要です。
けれど必ずしも領収書が出る環境とは限らないので、現実にはなかなか難しいと思います。
「まあこのくらいいいか」を自分に許さないことです。
物品を伴うシーンで|お礼・お土産・お中元・お歳暮など
物品を伴うシーンで、政治家が行ってもよいこと
〇 政治家が、有権者から、もらう
※ 有権者一人当たり、年間150万円までの物品を、一人の政治家に対して渡してもよい
物品を伴うシーンで、政治家が行ってはいけないこと
✖ 政治家が、有権者に、あげる
※ 物品をあげる行為は一切禁止です。安価な物でもいけません。
金銭および有価証券の場合
お金や有価証券は、あげるのも、もらうのも、政治家が行ってはいけません。
お金・商品券・株券・プリペイドカードなどの受け渡し
✖ 政治家が、有権者からもらう
✖ 政治家が、有権者にあげる
行ってもよいこと
金銭および有価証券は、政治家個人ではなく、後援会や政治団体への寄付金としてもらうのはよい。
「あげる」、「もらう」を、再整理
違う視点で整理するとこうなります。
※ ただし、後援会や政治団体に、有権者が、寄付金として「金銭をあげる」のはよい
意外な落とし穴、有権者に多い勘違い
有権者、支援者の誤解で生じやすい「違反」
有権者が、政治家の活動を手伝ったりサポートした場合、政治家から有権者に、労役への「ちょっとしたお礼」や「心づかい」があるのは、マナーのはんちゅうであると思われていることがあります。
政治家は、有権者に対して、金銭も物品も、決して渡してはいけません。
有権者が、「ちょっとしたお礼」「心づかい」を、政治家から受け取ることは、大変な間違いです。
有権者が政治家に、金銭や物品を求めた場合、有権者側も違反になります。
有権者が、政治家に対して「ちょっとしたお礼」や「心づかい」を求めることは、
政治家に対して、「犯罪」をさせることになる。また、求めた本人も違反になる。
政治家が有権者に、ささやかな金銭や物品を渡すことが「寄付」にあたり、法律違反になることは、是非、一人でも多くの方に知っていただきましょう。
議員を志す方は、是非、周囲の方にも、この記事をご覧いただくなどして、ご理解ご協力をお願いしておきましょう。
政治家が、してはいけない「ちょっとしたお礼」「心づかい」
✖ 「旅行に行ってきたので、お世話になっている皆さんに」と、お土産を渡す。
✖ 「今日の個人演説会、皆さんに手伝ってもらったおかげ」と、飲食をふるまう。
✖ 「町内行事、お疲れさまでした」と、慰労会用の資金を渡す。
✖ 雑用を手伝ってくれた人に「ほんのお礼の気持ち」と、図書券を渡す。
✖ 「早朝からの地区の清掃活動、お疲れさまでした」と、ペット飲料をおごる。
✖ 子どもの親友達に「何かとお世話になってるから」とファミレスでご馳走する。
政治家にとっては、「もらう」方がむしろ安全
政治家に、一切「あげてはいけない」と勘違いしている有権者の方は少なくないようです。
実は、これまで見てきた通り、政治家にとっては、むしろ「もらう」方が安全なのです。
「政治家にお金をあげて、わが社に有利な公共事業情報を流してもらおう」などということは決してあってはならないことです。
一方で、政治家から有権者に、物品や金銭(有価証券を含む)をあげることは罪になる、そう考えておいてよいと思います。
議員をめざした途端、法的に「政治家」となり、政治家には厳しい制約がある
立候補の届け出をしていなくても、議員をめざした途端、法的には「政治家」となります。
選挙期間中に、「お金を渡さなければいい」「品物を渡したり、食事をおごらなければいい」くらいでは済まないのです。
しかも選挙中にしたことでなくても、「犯罪」となる行為は、実にたくさんあるのです。
「ほどほどにしておけば大丈夫」「善意だから犯罪にならない」などということもありません。
公職選挙法に違反すると「犯罪」です
犯罪となれば「公民権が停止」され、投票することも出馬することも、5年間禁止されます。
当選していたとしても無効になりますし、現職だった場合は解任されます。
政治家に、なぜ「社会的慣習」まで禁じているのでしょうか。
「社会的慣習」まで、なぜ、政治家には禁止されるのか?
それは、憲法で、「国民は平等」であって「お金持ちが有利な選挙にしない」と定められているからです。
第14条「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない」
第44条「両議院の議員及びその選挙人の資格は、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない」
つまり有権者と議員との関係は、お金や品物であってはならないのです。
このため公職選挙法 により、政治家は、一般的に行う社交上のものであっても寄付として禁止され、また、あいさつ状等を出すことさえも寄附として禁止されています。
政治家が「してもよいこと」は何か
議員を目指す以上、「寄付や買収はしてはいけない」という話をしてきました。
では「寄付や買収に当たらないこと」、してもよいことはあるのでしょうか。
政治家がしてもよいことは、次の3つだけです。
- 政治家みずからが結婚式(披露宴も)に出席して渡す結婚祝い。
- 政治家みずからが葬儀(通夜や弔問も)に参列して出す香典。
- 会費が定められている行事で、会費を支払い参加する。
この3つとも、一般常識の範囲内の金額であれば、寄付に当たりません。
このほか「来客に出す茶菓で、常識の範囲のもの」は寄付に当たらないとされています。
おさらい「してはいけないこと」
以下はすべて「選挙区内」で禁止されています。
お金を渡して「私に一票、入れてください」と頼む。
金品で「一票」をお願いするのは犯罪です。
お世話になっている人に「ほんのお礼です」とワンコイン程度の品物を渡す。
金額に関わらず「寄付」となるので犯罪です。
友人と二人でランチをし「今日は私が出しとくよ」と二人分払う。
金額に関わらず「寄付」となるので犯罪です。
知人の病気見舞いに果物を届けた。
物品も「寄付」となるので犯罪です。
親戚の子の入学祝に5万円包んで渡した。
金額に関わらず「寄付」となるので犯罪です。
後援会で開催する慰労会の費用を負担する。
金額に関わらず「寄付」となるので犯罪です。
友人が開業したので、お祝いに1~2万程度のお金を贈る。
金額に関わらず「寄付」となるので犯罪です。
恩人の開店祝いに花を贈る。
物品も「寄付」となるので犯罪です。
友人知人らに暑中見舞いを送る。
「時候の挨拶状」が「寄付」となるので犯罪です。
選挙区内の住人にお年玉付き年賀状を送る。
「年賀状」は、お年玉付きでなくても「寄付」となるので犯罪です。
近所の神社やお寺にお金を寄進する。
金額に関わらず「寄付」となるので犯罪です。
神社やお寺に寄進した証として石碑に名前を刻んでもらう。
寄進が「寄附」となる上に、、名前を人目につくところに掲示することも違反なので、両方とも犯罪です。
お世話になった方にお歳暮を贈る。
金額に関わらず「寄付」となるので犯罪です。
地元の祭りに祝儀として5千円渡す。
金額に関わらず「寄付」となるので犯罪です。
祭りにお酒を差し入れる。
物品も「寄付」となるので犯罪です。
公民館行事にお菓子を差し入れる。
物品も「寄付」となるので犯罪です。
福祉施設が募金活動していたのでお金を出す。
金額に関わらず「寄付」となるので犯罪です。
公共の記念碑建設にお金を出す。
公共の物であっても「寄付」となるので犯罪です。
有権者に知っていただくチャンスにしましょう。
「選挙区外」の、知人、友人、親戚、仕事関係者、その他の有権者からは、「一票」を得ることができないからです。
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